天使の囀り [本]

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【天使の囀り/☆☆☆☆☆☆☆☆★★】

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。
恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。
さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。
アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?
前人未到の恐怖が、あなたを襲う。

という話。

最初こそ話の展開が読めない上、専門的な内容で行き詰ったのですが、途中から一気読みしました。流石貴志祐介作品でした。どんな話の展開になるのかも読めず最後まで面白い作品でした。個人的に蜘蛛のシーンが一番ショッキングだったかと・・・。
是非皆さんも貴志祐介ワールドを堪能してみては!!




光媒の花 [本]

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【光媒の花/☆☆☆☆☆☆☆☆☆★】

認知症の母と暮らす男の、遠い夏の秘密。幼い兄妹が、小さな手で犯した罪。心の奥に押し込めた、哀しみに満ちた風景を暖かな光が包み込んでいく。儚く美しい全6章の連作群像劇。第23回山本周五郎賞受賞作。

という話。

切ないです。道尾秀介はどうしてここまで感情を描く事が出来るのでしょうね。もう素晴らしいと思います。
道尾秀介の短編集で個人的には【流れ星のつくり方】が一番好きなのですが、それに順ずる素晴らしい出来でした。ミステリアスなのかファンタジーなのか絶妙なラインで描き切っている。最後の話なんて、巧すぎます。
彼の作品はまだまだあるので非常に楽しみです。


球体の蛇 [本]

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【球体の蛇/☆☆☆☆☆☆☆☆★】

1992年秋。17歳だった私・友彦は両親の離婚により、隣の橋塚家に居候していた。主人の乙太郎さんと娘のナオ。奥さんと姉娘サヨは7年前、キャンプ場の火事が原因で亡くなっていた。どこか冷たくて強いサヨに私は小さい頃から憧れていた。そして、彼女が死んだ本当の理由も、誰にも言えずに胸に仕舞い込んだままでいる。乙太郎さんの手伝いとして白蟻駆除に行った屋敷で、私は死んだサヨによく似た女性に出会う。彼女に強く惹かれた私は、夜ごとその屋敷の床下に潜り込み、老主人と彼女の情事を盗み聞きするようになるのだが…。呑み込んだ嘘は、一生吐き出すことは出来ない―。青春のきらめきと痛み、そして人生の光と陰をも浮き彫りにした、極上の物語。

という話。

刹那過ぎる話でした。
嘘とは何なのか?吐いてしまった嘘の為に傷つく人。誰かを助ける為につく嘘。
真実とは何か?知ってしまった真実。知る必要の無い真実。
話の展開が絶妙で、面白かった。哀しいとはこんな事かもしれない。悔しい事ってこんな事かもしれない。恨めしいとはこんな事かも知れない。
そんな要素を全て含んでいた作品でした。
道尾秀介の真骨頂で、読んで良かった作品でした。


水の眠り 灰の夢 [本]

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【水の眠り 灰の夢/☆☆☆☆☆☆☆☆★★】

昭和38年9月、地下鉄爆破に遭遇した週刊誌記者・村野は連続爆弾魔・草加次郎事件を取材するうちに、一人の女子高生の殺人事件の容疑者に。東京オリンピック前夜の高度成長期を駆け抜ける激動の東京を舞台に、村野の執念が追いつめたおぞましい真実とは。孤独なトップ屋の魂の遍歴を描く傑作ミステリー。

という話。

個人的には、この著者の作品にはグロい描写を期待していたのですが、意外とやわらかいタッチでした。
内容は切ない話でしたが、昭和の高度成長の影を垣間見る事が出来た気がします。
話の展開は、彼女らしいテンポでした。それでも、伏線が多い分楽しめました。
結構、長文でしたが面白かったです。



プリズム [本]

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【プリズム/☆☆☆☆☆☆☆★★★】

世田谷に古い洋館を構える資産家の岩本家に聡子は足を踏み入れた。美しい夫人から依頼されたのは、小学校4年生になる息子・修一の家庭教師。修一と打ち解け順調に仕事を続けていた聡子だが、ある日、屋敷の庭を散策中に、離れに住んでいるという謎の青年が現れる。青年はときに攻撃的で荒々しい言葉を吐き、聡子に挑みかかってきたかと思えば、数日後の再会では、陽気で人当たりが良く聡子を口説いてからかったり、かと思うと、知的で紳士然とした穏やかな態度で聡子との会話を楽しんだり……。会うたびに変化する青年の態度に困惑するが、屋敷の人間は皆その青年については口を硬く閉ざすのであった。次第に打ち解けていく青年と聡子。やがて、彼に隠された哀しい秘密を知った聡子はいつしか彼に惹かれはじめている自分に気づき、結ばれざる運命に翻弄される。変幻自在の作品を生み出す著者が書き下ろした、哀しくミステリアスな恋愛の極致。

という話。

ん・・・・
解離性同一性障害は理解出来ました。しかし、それとこの物語は強引過ぎる展開にちょいと引きました。
最後は飽きたのかなぁと思える展開になりました。
決して、面白くないわけでもないのですが、恋愛の必要性に欠けました。しかも、最後の梅田家の展開は読め過ぎです。
嬉しい展開でしたが、その展開は想像上で済ませた方が良かったかと・・・・。
ただ、もう10年近く、この地域で仕事しているので、イメージは物凄く膨らみました。

最後にひと言だけ言わせていただくなら、この方の描く女性像は偏屈な方が多い気がします。
僕の読み取りが浅いだけかも知れないのですが・・・・。

まぁ、読んでいて物語に入り易かったのは評価出来ます(^^)


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